オレが長になって何年経つだろうか……

日光種の村はあの頃とは随分変わった。





第一章 それぞれ

青年になった少年



ソレイルが消滅した後、
オレ達は誰一人としてソレイルがいたことを忘れなかった。
消滅した者の存在までも忘れてしまうと言われていたが、そんなことはなかった。
喜び、悲しんでいる中で長……オレの父だけはどこか不安気な顔をしていた。

そして、オレは長になった。
オレが長になってすぐ、父は「死んでしまった」。
消滅とも生華とも言えない……よくわからないが村一番の長寿の木がそう言っていた。

悲しみに明け暮れる人々。
その年のフラワーカップも中止となった。
そんな中、花の精の長がオレの長就任祝いとして日光種の村にやってきた。

そこから変わった。




花の精の長を見てまず驚いた。
一度だけ会ったことのある花の精……クィーだった。
長はアルキリだと思っていたのに、いつの間にやら変わっていたようだ。

日光種の村は閉鎖的だった。
唯一の交流のある花の精でさえも春以外に会うことはなかった。
だからといってここまで周りのことを知らなくていいのだろうか。
オレは閉鎖的な日光種の村を根本から叩き直すことにした。

オレ自身社交的な性格ではないが
きっと彼女がいたら……ソレイルがいたらこうするだろうなと思ったから。



日光種の村は変わった。



最初村の者は戸惑っていたし、反対にもあった。
しかし若者は花の精の服装やオシャレに興味を示し、段々と交流を深めていった。
村の中に花の精が頻繁にやってくるようになり、
日光種も花の里に遊びにいきようになった。
知識が乏しかった日光種達は花の精から色んな知識を学んだ。
そして、花の精の紹介で木の精、土の精、水の精とも交流が進んでいった。


そんな中、花の精と結婚する者も出た。
筆頭となったのは以前から花の精と恋仲だったライイだった。

ライイは長の仕事も色々手伝ってくれた。
花の精との交流もライイがいたからこそ実現したと言っても過言ではない。
本当に助かったと思っている。

そのライイの結婚式には村中の人々が集まり祝福した。
ライイは幸せそうに笑っていたが、オレが花束を渡すとソレイルを思い出したらしく
目に涙を浮かべながら「……ソレイルに一番に祝って貰いたかったよ」と呟いた。





長の仕事は忙しかった。

その忙しさでソレイルのことを忘れられた。

けど今日のように時間ができるとふと考えてしまう。





彼女は今どうしているのだろうか。





もう二度と会えないとわかっていても探してしまう。

ふとソレイルが住んでいた家に足を向けてしまう。

まだオレの中は彼女でいっぱいだ。





忘れることなんてできない。

今でも

あなたが誰よりも好きです。










オレはソレイルの家へと続く道をゆっくりと歩き出した。



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ぶは・・・!なんかすごくおセンチですね・・・(笑)
なんか切ない話になってしまってます(汗)まぁ、仕方ないですが。
第二章に入れば明るく(?)ほのぼのになりますのでもう少しだけお付き合いを!
次の話で第一章はおしまいです!

[06.11.21]