Leaf Glass   >>>






魔物と人間が生きるこの世界には争いが絶えなかった。

魔物は人間を拐い、食し。

人間は魔物に復讐し、支配しようとした。



そんな世界に魔王と呼ばれるある人物がいた。




気まぐれ魔王








「暇だな……そうは思わないか?イズリ」
「……お言葉ですが、魔王様。
 暇なんてとんでもございません。
 あなたには山のような仕事があるのですから」


回廊のような長細い部屋の天井は高く、様々な装飾がされている。
天井と床を繋ぐ柱は一級の彫刻品で石壁は
ところどころヒビがはいったり黒ずんだりしているが綺麗なものだった。

部屋で話す人物の出で立ちは違っていて、
魔王と呼ばれた一方は緋色の椅子に腰掛け、暇だと言いながら天を仰いでいた。
持ち前の漆黒の髪が椅子の後ろに垂れ、緋色の目はぼんやりと天井を見ている。
イズリと呼ばれたもう一方は手に持った書物を見ながら気を張って立っており、
色の付いたメガネをかけていても紫色とわかる目はまっすぐ魔王と呼んだ人物を見ていた。


「各地のヤツらが勝手にしてることをオレがしるか。
 勝手にさせとけばいいだろ」


世界のほぼ中心にある魔王の城。
城下の街では物や情報が飛び交い、人と魔物が入り交じって暮らしている。
そんな平和な街を作ったのはまぎれもなく魔王本人。
しかし、もともとあった街……国を侵略したのも魔王本人であった。

特に恨みがあったわけではなく、かといって自分が王の圧政を……
という正義の心で行ったわけではない。
そう、この魔王は極度の気まぐれ性だった。


「そういうわけにはかないから申しているのでしょう。
 あなたは魔物を統べる魔王です。
 最近は特に魔物の行動が活発になってしまって世界の調和のためにもよくないのです」

手に持った調査書を捲りながら、『世界調和のため』の案をひねり出す。
魔王の補佐であるイズリは魔王の方針に従い、
情報を整理しながらそれに向かうための案を考えていた。


「世界の調和ねぇ……魔王がそんなこと考えるのおかしくね?」
イズリに言われたことに対して顔をしかめて返す。
本来魔王とは何かと問われれば、イメージからしても侵略し支配してこそのモノかもしれない。

不満そうな魔王にイズリは深いため息を吐く。

「なんだ、イズリ。オレに文句あるのかよ」
今度は不満げな目をイズリに向ける。

「……恐れながら言わせていただきますが……
 つい半年前、魔王様が!世界征服は飽きたから平和な国作りをしろ。と仰ったのですよ。
 だから私は魔王補佐にしてあり得ない平和への構想を考えているのではありませんか」
私だって世界の調和についてなんて考えたくありません。ときっぱりと言う。
ムスっとしたイズリの態度に少し笑って、立ち上がった。
イズリが不思議に思う中、玉座の両隣にある窓までくると窓に背をむけイズリの方を向く。


「一つ問おうイズリ。世界征服とは何だ?」
「……簡単に言うと世界をあなたの命一人で全ての者が動くようにすることです」
質問に少し驚いたような顔をしたイズリだったがきっぱりと答える。

「世界か……では、さらに問おう。世界とは何だ?」
「……世界とは……この世界全てでしょう」
質問したあとニヤニヤとした顔で見てくる魔王を見て自分に何を言わせたいのか勘付く。
しかし、魔王の思惑通り答えることにした。
これでまた大変になるなと考えながら。


「そうだな。この世界の全て、
 魔物も人間も空も光も全て……オレのモノだろ?」




気まぐれ魔王は


今日も世界を動かす




fin.




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主催同盟Original Story Partyの第一回コンテストに参加した作品です。
なんと!小説部門で一位を取らせていただきましたのです!(ビックリ)
すごく嬉しかったです!そして、愛着のある物語です!
お題が「世界征服」ということで、ある魔王の物語を書いたのですが、
もともと魔王とか魔物とか魔族とかが大好きでvv楽しく書きました〜
短いのでなのでまだまだこれからっぽいですが(笑)
読んでいて楽しんでいただけたら嬉しいなぁと思います。


By.管理人*FUYUKO  2007/11/20


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